集合住宅が密集する文教地区に建つ、一階道路側に事務所をもつ地上6階建の賃貸集合住宅である。7層程度の高い建物に囲われた場所に敷地があり、光や風を取り入れつつプライバシーを確保することが求められた。1層を1世帯の住戸とし、半屋外の中庭テラスを挟んで二分した単純なプランとした。住戸への入口となる中庭テラスは、住戸内に採光通風を取り入れるための吹き抜け空間をつくると同時に、近隣住民の視線と騒音を遮る静かなプライバシー空間をつくっている。また、将来の家族形態の変化に応じて住戸を分けて貸し出すこともできるよう、共用部として扱うことも想定した可変性のある計画としている。過密化した都市で住まうために工夫された断面計画と、社会の変化に応じ柔軟に対応できる平面計画とを、シンプルに中庭テラスを挿入することで実現しようとする集合住宅である。