130年の歴史をもつ老舗ホテルのリノベーションプロジェクト。
北海道滝川市は古くから空知地方の交通の要衝で、稚内や旭川、赤平に富良野など各方面へ向かう拠点としていつの時代も宿泊機能が必要とされてきた。あらたな時代を迎え、いま持続可能なホテルをつくることは何か?という問いに対し、シンプルに「泊まる」ことをもう一度整えようと考え、必要なインフラを確実に更新し、オペレーションの合理化を進め、同時に居心地の良い場所を丁寧につくることを心掛けた。地域でつくられる美しい白木(メジロカバ)の手触り、彫刻家五十嵐威暢さんの「こもれび」の光、地元食材を使った朝食、旅館時代から引き継がれた庭に面するダイニングといった、ひとときの滞在の間にも、この土地に根差す時間の積み重ねや営みに触ることができるような場所づくりとした。Photo: Ikuya Sasaki